□■中立的な文章を書くために
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■公正なデータを用いる
■尊敬語・謙譲語は使わない
■私事を根拠にしない
■一人称複数は避ける
■反対意見に目を通す



■公正なデータを用いる

 統計や実験データは、なるべく客観的に見て信頼できるものを用いなければなりません

 一部のメディアに見られるような、
・最初から特定の傾向に偏らせようとする意図が働いている(例:評判が悪いという世論を演出しなければならない)
・調査対象や、調査方法がいい加減である(例:調査対象が周りの知人)
・出所や引用元が不明
といった傾向があるデータは、文章の信頼度をおとしめる恐れがあるため、避けるべきです。

 またデータを引用する際は、データの信頼性を読者も判断できるように、引用元や出典を明記する配慮も必要です。



■尊敬語・謙譲語は使わない

 尊敬語や謙譲語を用いると権威や上下関係が生まれます。
 レポートといった中立性が求められる文章では、そうした権威などから独立して文章が書かれていることを示すために、あえて尊敬語・謙譲語の使用を控えます。

 また丁寧語に関しても、レポートは基本的に「だである調」で書かれるためほとんど使われません。
 そのためレポートでは、引用や謝辞を除き敬語は使うべきでないとされています。

×「お客様から頂いたご意見を集計したところ」
○「顧客から寄せられた意見を集計したところ」

×「A先生によると」
○「A氏によると」
※先生は敬称であるため、「氏」や「A大学助教授」といった肩書きに変える



■私事を根拠にしない

 「私の経験によると」「友人の話によれば」などといった私事は、客観的に正しいと判断できない以上、推論や主張の根拠に用いるべきではありません。

 私事は、問題提起に用いるなど、あくまで論証の外で用いたほうが無難です。

×「私の周りで、本を読んでいる若者はほとんどいない。明らかに日本人の読書量は減少しているようだ」
○「X委員会の調査(表6)によると、子供の読書時間は10年前と比べて半減しているという。日本人の読書量は減少していると見て間違いない」
※私事は推論の根拠として不適

×「新種Yには抗癌作用もあるようだ。ガンで苦しんでいた私の友人も、Yで大きな治癒効果が得られたといっていた」
○「新種Yには抗癌作用もあるようだ」
※私事は主張を補強できる程の説得力を持っていない。



■一人称複数は避ける

 「われわれ」「私達」といった1人称複数は、執筆者が特定の組織や集団に属すこと表現しているため、中立性が求められる文章では使うべきではありません。
 「日本人」「人間」といった、具体的な表現を用いる必要があります

 また一人称複数ではありませんが「我が国」なども、同様に「日本」などと改めたほうが良いでしょう。

×「我が国の職業訓練は」
○「日本の職業訓練は」



■反対意見に目を通す

 自分の意見に対する反対意見を把握すると、反対意見に対する優位性が何か分かるため、より説得力のある文章が書けるようになります。
 また反対意見を知ることで初めて自分の間違いに気づくことも少なくありません。

 逆に反対意見の存在を無視して主張を推し進めると、主張が独断的なものになる恐れが出てきます。

 そのため、何かしらの主張を行う際は、必ず反対意見にも目を通しておくべきです。

 なお文章上で反対意見に言及し、自分の主張と比較して自分の優位性を導く論理展開は、文章の中立性を向上させます。
 字数に余裕のある文章を書く際は、反論と共に反対意見にも言及すると良いでしょう。


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