□■明快な文章を書くために
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■難易度を読者に合わせる
■1文の情報量を限定する
■外来語は不必要に使わない
■簡潔な表現を用いる
■修飾語と被修飾語の関係を明確にする
■主語と述語を照応させる
■無理に漢字を使わない
■書く内容は事前に把握しておく
■並列表現を活用する
■指示語は分かりやすいもののみ用いる。
■図表を活用する
■明快な論理を用いる
■難易度を読者に合わせる
レポートといった論証の形を取る文章は、読み進めるのに理解を必要とします。
そのため論証の文章では、読者が理解できるように適切に難易度を設定しなければなりません。
具体的には、想定している読者の知識や実力を把握した上で、以下の点に注意すると良いでしょう。
1 表現や漢字の難易度は適切か
読者が意味をつかめない難解な漢字や日本語表現は避ける。
文章の位置づけに見合う漢字や表現を用いる。幼稚な印象を与える表現は、読者に合わせて改める。
2 用語の説明は適切か
以下の2点を満たさない用語は、文中で意味・定義を説明したり、注釈をいれたりして改める。
・読者が常識的に意味を知っている用語
・読者が専門上、容易に意味を調べられる用語
3 論理の流れは適切か
論理の流れは一度読者の立場になって見直したほうが良い。
以下の条件を満たすように工夫する。
・論理に飛躍がなく、自然な流れで論理についてける
・頭の中で整理しやすい論理構造を取っている
・論理を進めるのに必要な概念が明らかになっている
■1文の情報量を限定する
文は、含まれる情報量が多くなればなるほど理解しづらくなります。
そのため1文の情報量は、無駄な情報を削ったり文を分けたりして抑えるべきです。
なお一度に記憶できる情報の容量は、個数にして大体7個前後だと言われています。
それを目安に1文の情報量を限定すれば良いでしょう。
×「ガラス管の内部の、2本の導線と接続している黒い粒は、Mn、Ni、Fe、Znなどの金属の酸化物を焼き固めたもので、電流を流すことで発熱するサーミスタと呼ばれるものである。」
○「ガラス管の内部の、2本の導線と接続している黒い粒はサーミスタと呼ばれるものである。サーミスタはMn、Ni、Fe、Znなどの金属の酸化物を焼き固めたものである。また、サーミスタは電流を流すと発熱するという性質を持つ」
※『ガラス管の内部の』『2本の導線』『導線と接続している』『黒い粒』『Mn、Ni、Fe、Znなどの金属』『金属の酸化物を焼き固めたもの』『電流を流すことで発熱する』『サーミスタと呼ばれる』と1文の中の情報の個数は大まかに9個前後になっており、人間の記憶容量を超えている。
一方、1文の中に複数の主張が含まれると、その文は何を言いたいのか分かりにくくなります。
×「したがってここは国産というしがらみを捨て、アメリカと歩調を合わせるべきであるが、アメリカが主張している割り当てコードの有料化は阻止する必要がある。」
○「したがってここは国産というしがらみを捨て、アメリカと歩調を合わせるべきである。
ただし、アメリカが主張している割り当てコードの有料化は阻止する必要がある。」
※上の文は主張が2つあって、アメリカと歩調をあわせるべきかどうかが曖昧になっている。
また一文の中に複数の命題(読者に真偽の判定を要求する文)が含まれると、その文の真偽の判定が難しくなります。
×「動画は、ユーザーの意識を完全に拘束する点で敬遠されると考えられるため、新製品は予想ほど普及しないだろう」
○「動画は、ユーザーの意識を完全に拘束する点で敬遠されると考えられる。そのため、新製品は予想ほど普及しないだろう」
※上の文は「動画は、ユーザーの意識を完全に拘束する点で敬遠される」「新製品は予想ほど普及しないだろう」という2つの命題を持っているため、文の真偽の判定がしにくい。
まとめると以下のようになります。
・一文の中の情報量を限定する(目安として、情報の個数は7個前後まで)
・一文の中の主張は一つに絞る
・一文の中の命題はなるべく一つに絞る。
■外来語は不必要に使わない
外来語は、意味が類推しにくくなじみが薄いものが多いため、多用は避けるべきです。
文章表現としての外来語はあくまで以下の2つに限ったほうが無難です。
・日常、あるいは専門上、外来語で表記するのが通例となっている言葉(コンピュータ用語など)
・適当な訳語がない言葉(「アイデンティティ」「データ」)
×「リスペクトの意を表する」
○「尊敬の意を表する」
※相手は尊敬という言葉を自分に使いたくないのだ、と解釈される恐れもある
■簡潔な表現を用いる
文章に冗長な部分が多く含まれると、どうしても読みにくくなりがちです。
読みやすさは理解しやすさに直結するため、文章を書く上ではなるべく無駄のない簡潔な表現を使うべきです。
冗長な表現を改めるには、以下の点に注意すると良いでしょう。
1 重複語を除く
「まず第一に」→「第一に」「まず」
「正しい正論」→「正論」
2 簡潔な言葉に置き換える
「国民の意見」→「民意」
「両者の意見の一致を得る」→「合意を得る」
「父の兄弟の息子」→「従兄弟」
3 「こと」「もの」「という」「における」を除く
「こと」「もの」「という」「における」は除ける場合が少なくありません。
「自家発電することが可能だ」→「自家発電できる」「自家発電が可能だ」
「インターネットというものは、仕事のやり方を一変させた」→「インターネットは仕事のやり方を一変させた」
「日本における教育問題」→「日本の教育問題」
4 二重否定を肯定に改める
「ある意味正しいといえないこともない」→「ある意味正しいともいえる」
「あの運動が成功でない訳がない」→「あの運動は成功だ」
5 受動態を能動態に改める
能動態に改めると文が読みやすくなる場合があります
ただし強調表現といった、受動態にする理由が別にあれば受動態を優先します。
「会議は順調に進められた」→「会議は順調に進んだ」
「意義が感じられない」→「意義を感じない」
6 無駄な装飾を削る
削っても文の意味に影響を与えない形容は、削った方がすっきりします。
特にレポートでは多くの場合、心情的な形容は削っても文の目的を損ないません。
元「3年間の苦難に満ちた研究生活を経て、ついに美しいその方程式を完成させた」
→「3年間の研究生活を経て、ついにその方程式を完成させた」
7 定義づけを活用する
長い文を、別の単語や新しく作った造語に置き換えると、文章がすっきりすることがあります。
これは何回も同じいいまわしをしなければならない場合に有効に働きます。
元「今回の実験で、Cタイプの被験者には自分で自分の体の一部分に触ることによって安心感を得ようとする行為が見られた。 自分の体の一部分に触れることで安心感を得る傾向は特に〜」
→「自分の体の一部分に触れることで安心感を得ようとする傾向を『自己親和性』という。
今回の実験で、Cタイプの被験者にはその自己親和性が見られた。 自己親和性の傾向は特に〜」
■修飾語と被修飾語の関係を明確にする
文の構造が複雑になったり、語句が長くなったりすると、修飾語がどれを修飾しているのか分かりにくくなることがあります。
×「革命的ともいうべき、モーズレイの発明による旋盤の操作性の向上は、技術者の有り様を一変させた」
この文では「革命的ともいうべき」が、「モーズレイの発明」「旋盤」「操作性の向上」のどれを修飾しているのかが曖昧です。
×「微小な、だが製造時のものでなければ不純物混入の証拠になりうるその傷は、今回の計画を中止に追い込むかもしれない」
一方、この文では「微小な」とそれが修飾する「その傷」の間が長すぎるため、「微小な」の印象が弱くなっています。
いずれも、修飾語と被修飾語が離れすぎているのが原因です。
修飾語と被修飾語は、なるべく近づけた方が良いでしょう。
また1つの被修飾語に対して修飾語が複数ある場合は、短いものを優先して近づけます。
○「モーズレイの発明による、旋盤の革命的ともいうべき操作性の向上は、技術者の有り様を一変させた」
○「製造時のものでなければ、不純物混入の証拠になりうるその微小な傷は、今回の計画を中止に追い込むかもしれない」
なお強調表現のため修飾語を先頭に持ってくる必要がある、といった理由により、修飾語の位置を変えられない場合は、以下のようにします。
1 被修飾語を移動させる
「その微小な傷は、製造時のものでなければ不純物混入の証拠になりうるものであり、それは今回の計画を中止に追い込むかもしれない」
2 文を分ける
「その微小な傷は、製造時のものでなければ不純物混入の証拠になりうる。それは今回の計画を中止に追い込むかもしれない」
■主語と述語を照応させる
主語と述語が照応していないのは文法的な誤りであり、改める必要があります。
×「最終的な目標は、チューリング・テストをクリアするチャット・プログラムを完成させたい」
この例文では、「最終的な目標は」に対応する述語がありません。
以下のように改めるべきです。
○「最終的な目標は、チューリング・テストをクリアするチャット・プログラムを完成させることだ」
主語と述語の不対応は、多くの場合、能動態・受動態の選択の誤りで生じています。
×「問題は、その方程式に整数解が存在するかという問題に帰着される」
○「問題は、その方程式に整数解が存在するかという問題に帰着する」
×「シミュレータの値と実測値は、右図に示されるように、ほぼ一致している」
○「シミュレータの値と実測値は、右図に示すように、ほぼ一致している」
■無理に漢字を使わない
文章に占めるひらがなの比率が高すぎると、稚拙な印象を与えたり、読みにくくなったりします。
そのためレポートといった社会的な文書では、常識の範囲内で漢字を使うようにしたほうが良いでしょう。
ただし、あくまで「常識の範囲内で」です。
客観性の求められる文章では、文学的な表現は不要ですから、凝った漢字や難解すぎる漢字の使用は避けたほうが無難です。
漢字に直すべきではない言葉を以下に示します。
(1)補助語を漢字に変換しない
補助語とは「調べておく」「完成させてください」の「おく」「ください」などがそうです。
これを漢字に変換し「調べて置く」「完成させて下さい」と書いてしまうと、「調べて、置いておく」「完成させて、渡してください」と文章が別の意味を持つことになります。
この表現は誤用であるため、注意して直す必要があります。
(3)一般的でない古い文語体の漢字表現を使わない
一般的でない、古い文語体の漢字表現「如し」「如何にして」「其の」「此処」なども、文章を無用に難しくしてはならないという理由から使用を控えるべきです。
(4)読者が理解できない難解な漢字を使わない。
「蠱惑的」「侃々諤々」といった難解な漢字は、読者が理解できないと予想されるなら使用を控えるべきです。
例えば新聞では、「炭そ菌」というように一般的でない漢字をひらがなに直したり、ふりがなを振ったりしていますが、そのように、想定している読者が読めないと思われる漢字には、
1 平易な言葉に置き換える
2 ふりがなを付ける
3 ひらがなに直す
といった対応をしたほうがよいでしょう。
×「其の様な事は、危険過ぎるので今後減らして行くべきだ」
○「そのようなことは、危険すぎるので今後減らしていくべきだ」
■書く内容は事前に把握しておく
レポートといった論証を基本とする文章の執筆は、書こうとしている内容の全体像を把握してから始めるべきものです。
文章を書くための情報収集やその整理、分析、考察なども、執筆前に完了しておかなければなりません。
随筆のように、本文を書きながら内容を考える方法は論証型の文章では不適とされています。
これは、結論の説得力を上げる効果的な文章展開や、理解しやすくする文章構造の設計が、書くべき結論を明らかにしないとできないことによります。
文章の本文は、なるべく先に書く内容を把握しておきましょう。そして書く内容を整理し、構造化した上で執筆を始めるべきです。
※ただし文章を書くことは推論を進めるのに有効ですから、分析や考察を進めるため、あるいはイメージを具体化するための文章をひとまず書いてみる、というのはむしろ推奨されます。
なお、全体像を把握でき、かつ効果的な文章構造を実現する方法として、文章のテンプレートは有効に働きます。
文章のテンプレートとは、例えば
(課題レポートのテンプレート)
1 概要・目的
2 原理・理論
3 実験内容
・使用器具
・実験手順
4実験結果
・実験結果
・データの計算
5考察
といった文章の構造を表したものや、
(ブログでの考察文のテンプレート)
1 導入
・記事、時事問題、私事の紹介
2 状況把握
・情報の把握、言葉の意味や定義
3 因果関係
・原因や今後の展開を考察
4 自説の展開
といった、文章の流れを表したものがそうです。
なお文章を執筆する過程で、考察の不備やデータの不足などが明らかになり、想定していた内容を修正しなければならなくなることは少なくありません。そこでテンプレートを用いていると、修正箇所を限定的に抑えられたり、修正した全体像の再構築が容易になったりします。
■並列表現を活用する
並列表現は、文章に構造を持たせることができるという点で、分かりやすさを向上させます。
並列表現とは以下のようなものです。
(1) ナンバリング
「半導体業界の低迷は、次の3つの原因に起因すると思われる。
1つは〜
2つは〜」
(2) 基準の設定
「1日の最高気温は、新商品の売り上げと強い相関を持っている。
最高気温が25℃を越えた日は〜
最高気温が20℃以下の日は〜」
(3) 箇条書き
「今回の実験では、以下の3点を行った。
・TE波モードとTM波モードの結果の比較
・TE波モードの結果と、Aの実測値データとの比較
・TE波モードでの、右図13に示す回折光学素子の評価」
■指示語は分かりやすいもののみ用いる。
「それ」「これ」「前者」といったものが指示語にあたります。
指示語は分かりにくさの原因になりがちなので、使用にあたっては注意が必要です。
まず「あれ」「これ」「その」といった、指し示す場所が曖昧な指示語は
・直前の文や言葉を指示する接続詞としての指示語
・指示する対象が1つしかなく、どれを指示しているか明確に分かるもの
の2つに限定するべきです。
ただし上の条件を満たしても、指示語はなるべく控えたほうが無難です。
差し支えがない限り、元の言葉に置き換えた方が良いでしょう。
○「例えば形式を持っている文章には帳簿や電報などがあるが、これらは芸術とはいえない。そのため、575のような形式が芸術を規定しているわけではない」
※直前の語句を指示する、接続詞としての指示語
△「ペルー沖の海水温が下がる現象をラニーニャ現象という。その現象が起こると、日本では猛暑、寒冬になりやすいといわれている。例えば、その現象が観測された1973年には、日本では記録的な大雪に見舞われた」
○「ペルー沖の海水温が下がる現象をラニーニャ現象という。ラニーニャ現象が起こると、日本では猛暑、寒冬になりやすいといわれている。例えば、ラニーニャ現象が観測された1973年には、日本では記録的な大雪に見舞われた」
※上の文では、指し示す対象が一つしかないため、指示の対象が明確になっている。ただし、下の文のようになるべく指示語は使わないほうが良い。
また指し示す対象が複数ある場合は、「前者、後者」「第一に、第二に」というように、指し示す場所が具体的な指示語を用いた方が安全です。
×「半導体は、温度が下がると電気伝導性が下がる。一方金属は温度が下がると電気伝導性が上がる。それは、電子がバンドギャップを飛び越えるためのエネルギーを、熱から得ていることに起因する。」
○「半導体は、温度が下がると電気伝導性が下がる。一方金属は温度が下がると電気伝導性が上がる。前者は、電子がバンドギャップを飛び越えるためのエネルギーを、熱から得ていることに起因する。」
■図表を活用する
図表は以下の利点を持ちます。
・絵や写真、構造、体系といった2次元情報を分かりやすく表現できる
・数値データを分かりやすくまとめることができる
・情報の構造化や、効果的な強調や装飾を実現できる
・文字だけが延々と続くという、文章の単調さを破ることができる
・文字に埋められていないスペースを作ることができ、印象の良いレイアウトを実現できる
これらの利点より、図表は文章を分かりやすくするのに有効に働きます。
図表が利用できるところは、積極的に図表を導入した方が良いでしょう。
元「出荷量は、漸減的に推移していたのが、新素材を導入した5月以降、指数関数的に増加している」
○「出荷量は、新素材を導入した5月以降、大幅に増加した。出荷量の推移を右図1に示す」(グラフを導入)
■明快な論理を用いる
レポートといった論証を基本とする文章では、文章の論理構造が文章の分かりやすさにじかに影響します。
そのため明快な文章を書くためには、まず論理構造を簡潔かつ明快なものにしなければなりません。
具体的には以下の点に注意すべきです。
(1)肯定・否定がはっきり分かるように
文を書く上では、論題を肯定する文と否定する文を、読者が容易に区別できるようにしたほうが良いでしょう。
元「事件の解決を待たずに、責任をうやむやにしようとする今回の処置はいかがなものか」
→「事件の解決を待たずに、責任をうやむやにしようとする今回の処置には反対である」
なお肯定から否定、否定から肯定と、立場が違う文をつなげる際は、「しかし」「だが」「一方で」といった逆接の接続詞を必ず付け、立場が変わったことを明確に示す必要があります。
×「今回の新薬についてだが、解禁を望む声は多い。データ不足を指摘する専門家もいる」
○「今回の新薬についてだが、解禁を望む声は多い。しかし、データ不足を指摘する専門家もいる」
※反対派の意見に移ることを接続詞で明記
(2)接続詞を活用する
接続詞は、例示する、並置する、理由を述べる、といった文の論理的役割や、論理の流れを表現するのに有効に働きます。
論理が分かりにくい部分には、積極的に接続詞を導入したほうが良いでしょう。
元「添加物によっては、特異な透磁率を持つことがある。酸化リチウムを添加した場合がそうだ」
→「添加物によっては、特異な透磁率を持つことがある。例えば酸化リチウムを添加した場合がそうだ」
※例示であることを明記
元「中皮腫の患者には、工場とは全く関係のない住民も含まれる。アスベスト汚染は周辺地域にも広がっている可能性が高い」
→「「中皮腫の患者には、工場とは全く関係のない住民も含まれる。そのため、アスベスト汚染は周辺地域にも広がっている可能性が高い」
※結論であることを明記
元「A社は水素燃料に、B社はハイブリッドに力を入れているようだ。その水素燃料についてだが、面白い研究結果が出ている」
→「A社は水素燃料に、B社はハイブリッドに力を入れているようだ。ところでその水素燃料についてだが、面白い研究結果が出ている」
※違う話になることを明記
(2)論証を分断する情報は移動させるか削る
冗長な情報は、論理を分かりにくくします。
論証にかかわりのない情報は、極力削るか、移動させたほうが無難です。
×「今日の演説では首相は自らをガリレオに例え、改革色を強調した(なおこのガリレオの例えについて、気安く使わないで欲しいと研究者から苦情が出ているそうだ)。一方A党党首は〜」
○「首相は今日の演説で自らをガリレオに例え、改革色を強調した。一方A党党首は〜」
※無駄な文を削る
○「首相は今日の演説で自らをガリレオに例え、改革色を強調した(※1)。一方A党党首は〜」
※カッコ内の文が必要ならば、注釈として末尾にまわす。
(3)逆接を繰り返さない
以下のように逆接を何重にも重ねると文章が非常に分かりにくくなります。
×「A大臣はゆとり教育を改めるべきだと表明した。だが、これに対して詰め込み教育は創造性を奪い、ノイローゼといった精神が不安定な子供たちを増加させるため、改める必要がないという意見がある。しかし創造性を奪うという表現には定量的な根拠がなく、ほとんどのノイローゼの要因は勉強以外のところにあることが多い。しかし、実際に過剰な受験勉強でノイローゼにかかった子供がいるのも事実だ。だが、それは個別に対応すれば良いだろうし、また受験勉強はゆとり教育とあまり関係がない」
逆接は2重までに抑えたほうが無難です。
また、逆接を重ねると何を言いたいのか分かりにくくなるため、多重の逆接を用いる際は、あらかじめ執筆者の立場を明らかにしておいたほうが良いでしょう。
○「A大臣はゆとり教育を改めると表明した。私もこれには基本的に賛成である。
ゆとり教育推進側は、この表明に対して詰め込み教育は創造性を奪い、ノイローゼといった精神が不安定な子供たちを増加させると述べて反対しているが、まず創造性を奪うという表現には定量的な根拠がない。またほとんどのノイローゼといった神経症の要因は勉強以外のところにあることが多い。中には過剰な勉強などでノイローゼにかかった子供がいるのも確かだが、そういった精神障害には個別に対応していけば良いだろう」
※賛成の立場を先に表明して、賛成側の視点で文章を組み直す。さらに無駄な文を消して、多重逆接を改める。
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