「指導明細の設定」
指導明細は、指導目標を達成するのに必要な情報をまとめるために作成する定式書類です。
今回はその指導明細がどのようなものか学んでいきます。
1)指導明細とは
指導明細とは、「指導目標」「査定課題」「手がかり」に「習得項目」「査定課題の達成基準」などを加えた定式書類です。
これまで作成・収集してきた情報をまとめるために作成します。
具体的を以下に示します。
指導明細例***
指導目標:
「学習者は、売店の売り上げをパレート図にまとめることが出来る」
査定課題:
売店の商品区分別売り上げデータをまとめたパレート図を、課題プリントに書かせる
条件
ノート、資料は見てよい
電卓を使用してよい
達成基準
売上データを区分別に集計できる
以下を全て正確に作成できる
・目盛り、題名を含めたグラフの基本形
・売り上げの棒グラフ
・累積比率の折れ線グラフ
手ががり:
パレート図の見本をプリントで示す。
「パレート図は個々の構成比を表す棒グラフと、累積比を表す折れ線グラフからなる」
「棒グラフは右側より大きなものから並べていく」
「折れ線グラフは右側の大きなものから足していく」
習得項目:
・棒グラフを作ることができる
・累積比率の折れ線グラフを作ることができる
***
では順に説明していきます。
1. 査定課題の達成基準
査定課題の合否の判定基準は、一定でありません。
例えば技能レベルについても「熟練者並に」「技能資格の合格レベルぐらいの腕で」「ひとまず安全にできれば」と様々な基準の取り方がありますし、学習対象が複数の内容からなるものは、どれを習得する必要があるのかで選択肢が生じてきます。
このような判定基準の曖昧さを残しておくと、指導内容に冗長な部分を加えてしまったり、あるいは学習指導や学習効果を適切に評価できなくなったりする恐れがあります。
学習指導案作成の前段階であるここで、査定課題の判断基準を具体的にしておく必要があるのです。
達成基準は教員が見てできたか判断できるものでなくてはなりません。
また、達成基準は細かく簡潔に設定すると評価しやすくなります。
具体例を示します。
査定課題:
ハフマン符号を用いて、5つのアルファベットからなる文字列をノート上で符号化させる。
達成基準
各アルファベットの出現確率を求める事ができる。
(〇:教員が結果を確認しやすい。
ハフマン木を理解できる。
(×:理解できる、の良否の判定が難しい。「説明できる」「作ることができる」としたようが良い。
査定課題:
永字八法に基づいた「永」を和紙に書かせる。
達成基準:
手本を見ずに書くことができる。
(×:条件で明記すべき項目。
書き順に忠実に書くことができ、点・ハネ・抜き・払いを正確に書く事ができる。
(△:細かく簡潔に。この場合は二つに分け、前半部を条件にまわしたほうが良い
永字八法に基づいて「水」を書くことができる。
(×:査定課題と関係がない。
2. 手がかり
手がかりは教材研究の過程で抽出していきます。
詳細については「教材研究」を参照してください。
3. 習得項目
習得項目は学習指導で実施される練習課題の内容を指し示すものです。
例えば最初の例で
・棒グラフを作ることができる
・累積比率の折れ線グラフを作ることができる
とありましたが、これは学習指導の中で「棒グラフを作らせる練習課題」「累積比率の折れ線グラフを作らせる練習課題」を用意する予定であることを示しています。
ただしこの項目はあくまで目安なので、ここで提示した内容を必ず練習課題として実施する必要も、想定している練習課題全てを無理にこの項目にまとめる必要もありません。
実際、ここでは練習課題となりそうな主要な項目だけ挙げておき、具体的な練習課題の内容は学習指導案を作成する段階で決めるのが一般的なようです。
なお習得項目の形式は、基本的に指導目標と同じものにすると良いでしょう。
2)段階としての「指導明細の設定」
指導明細でまとめる「指導目標」「査定課題」「手がかり」「習得項目」「査定課題の達成基準」といった項目は、いずれも指導目標を達成するのに必要な情報です。
すなわち指導明細は、指導目標の達成までに必要な情報を文章として具体化するために作成します。
指導明細の設定を簡略化する場合:
■査定課題の達成基準、手がかり、練習課題の内容を明らかにしておく必要がある。
3)まとめ
□指導明細の項目
1. 学習目標
2. 査定課題
概要
条件
達成基準
3. 手がかり
4. 習得項目
■指導明細は指導目標の達成に必要な情報(手がかり、練習課題)を明らかにするために作成する。
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