「指導案設計の流れ」


1)指導案設計の概要

 指導案は学習指導の流れを具体的にまとめた、いわば授業の台本のようなものです。
 指導案は授業の進行以外に、授業の改善や評価、ノウハウの共有化といった面でも効力を発揮します。


 指導案を作成する一連の流れを以下に示します。

1. ねらいの設定   ・・・学習者、指導環境についての情報の把握
 ・学習指導の概要
 ・対象
 ・時間
 ・環境
 ・動機
 ・評価基準

2. 指導目標の設定   ・・・学習指導で達成すべき目標の設定
 ・指導目標
 ・査定課題

3. 教材研究   ・・・学習指導の内容についての情報収集
 ・手がかり
 ・作業分解票

4. 指導明細の作成   ・・・教えるべき情報や課題といった、指導案を構成する要素をまとめる
 ・指導目標
 ・査定課題
 ・査定課題の達成基準
 ・手がかり
 ・習得項目

5. 指導案の作成   ・・・学習指導の流れの決定

6. 学習指導の評価   ・・・学習指導を改善するための観察・評価
 ・指導観察票


 なお、上で提示している流れは、あくまで作成方法の一例です。

 実際、指導案の設計に絶対的な手順というものはなく、設計の手順や形式は、人や場所によって大きく違っています。
(このテキストの場合、入門者が無理なく設計を進められるように書いているため、冗長な部分を含んだものとなっています)

 その点、現場で試行錯誤しながら、自己の指導案設計方法を改良していく余地があるということですが、このテキストではそれぞれの段階で何をする必要があるのかまとめておきました。
 手順を簡略化・拡充する際の目安となれば、と考えています。


 なおこのテキストは形式としては訓練施設などでの学習指導を設計する形を取っているものの、サークルでの勉強会、簡単なOJTでの指導といったものにも転用可能です。
 また教える技術は言い換えれば学ぶ技術。己の勉強法の設計にも応用が利くと思います。
 そうした日常的な場面での一助になれば幸いです。

 最後に本講座で用いている指導案、指導観察票、作業分解票の形式は
「実習の仕方と授業構成法」
「実務実習とモデル授業の検討」
(荒井吾郎、谷口雄治)
を、指導明細の形式は
「学習指導の設計」
「学習指導設計の演習」
(R.L.ベーカー、R.E.シュッツ)
を参考にしました。


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