「指導案の作成例・前」
学習指導設計の総まとめとして、これから2回に分けて指導案を設計する過程を示します。
課題は「2進数の加算について」です。
1)ねらいの確認
学習概要「2進数について学び、2進数の加算を行ってみる」
対象:
学習者:1年生 30名前後
2進数の予備知識はない
コンピュータのメモリについての講義を受けている
デジタル電子回路は電圧の高低で情報を表すことを授業で学んでいる
時間:
45分
環境:
場所:〇×講義室
黒板あり
OHP設備あり
動機:
「2進数とその演算は、これから学ぶデジタル電子回路、制御、情報処理などで必須の知識である。その知識がなければこれからの授業を理解できない」
評価基準:
未定
2)指導目標の設定
学習者は以下のことができるようになる
・2進数を10進数に変換できる
・10進数を2進数に変換できる
・2進数の加算ができる
3)査定課題の決定
※指導目標が複数あるので、査定課題も複数用意します。
「2進数を10進数に変換できる」
査定課題:
2進数をいくつか与え、課題プリント上で10進数に変換させる
条件:
2進数は正の整数
解く際はノート、黒板を参照してよい
「10進数を2進数に変換できる」
査定課題:
10進数をいくつか与え、課題プリント上で2進数に変換させる
条件:
10進数は正の整数
解く際はノート、黒板を参照してよい
「2進数の加算ができる」
査定課題:
2進数の組をいくつか与え、課題プリント上でそれらを加算させる
条件:
2進数は正の整数
解く際はノート、黒板を参照してよい
4)指導明細の決定
※指導目標が複数あるため、指導明細も複数用意します。
指導明細
***
指導目標:
「学習者は、2進数を10進数に変換できる」
査定課題:
2進数をいくつか与え、課題プリント上で10進数に変換させる
条件:
2進数は正の整数
解く際はノート、黒板を参照してよい
達成基準:
全ての2進数を正しく10進数に変換させる
手ががり:
「2進数は0と1で数値を表現する」
「各桁の数字にかけられる値を、重みと言う」
「10進数の重みは10のべき乗、2進数の重みは2のべき乗で表される」
「2進数を10進数に変換する時は、2進数の各桁の値に、重みをかけてそれらを足せば良い」
習得項目
・2進数は数を1と0で表現していると説明できる
・2進数、10進数を、各桁に重みをかけた値の加算式に分解できる
・正の整数である2進数を10進数に変換できる
***
指導目標:
「学習者は、10進数を2進数に変換できる」
査定課題:
10進数をいくつか与え、課題プリント上で2進数に変換させる
条件:
10進数は正の整数
解く際はノート、黒板を参照してよい
達成基準:
全ての10進数を正しく2進数に変換させる
手ががり:
「10進数を、2の重みをかけた値の加算式に分解することで、2進数に変換する」
「重みをかけた値の加算式は、値を2で割っていった際の余りから求める」(計算式を提示する)
習得項目
・正の整数である10進数を2進数に変換できる
***
指導目標:
「学習者は、2進数の加算ができる」
査定課題:
2進数の組をいくつか与え、課題プリント上でそれらを加算させる
条件:
2進数は正の整数
解く際はノート、黒板を参照してよい
達成基準:
与えられた2進数の組全てを正しく加算できる
手がかり:
加算の過程を提示する
「2進数では、2で桁が上がる」
習得項目:
・2進数の加算ができる
***
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